合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」
人間は自分に合う人やモノを自然と嗅覚で選んでいる
■東島アナ「ゲストは、薬剤師で体内環境師の加藤雅俊さんです。アロマも専門分野でいらっしゃるとのことで、今回は香りで快適な生活を送るためのヒントについてお伺います。最近は“メディカルアロマ”というのがあるそうですね」
■加藤「はい。今までアロマはリラクゼーション目的で使用されていましたが、心と体の不調にも働きかけるということがわかってきたのです」
■東島アナ「具体的にどういうことでしょう?」
■加藤「私が製薬会社の研究室にいた頃から、アロマの力が医療に繋がるのではないかと思い、並行して研究してきました。アロマは植物がもつ薬理効果を得られるのです。香りを嗅ぐことによって自律神経など、西洋医学では手が届きにくい心の分野へアプローチできるということが、近年いろいろなデータや研究論文で明らかになっています」
■東島アナ「さまざまなデータを基に研究をされていると思いますが、男性と女性では、香りに対する感覚に違いはあるのですか」
■加藤「女性は、香りを受け取る受容器の細胞が、なんと男性の1.5倍も多いのですよ」
■伊久美「女性のほうが香りに敏感ということですね。例えば、自分と相性がよい人を匂いで選んだりすることはあるのでしょうか?」
■加藤「そうですね。“フィーリングが合う” “なんとなく、この人といると落ち着く”ことってありますよね。“あの感じって”、嗅覚で判断していることも多いのです」
■伊久美「そうなのですね! 知りませんでした。これから気になる人の匂いを嗅いでしまいそう(笑)。香水や柔軟剤などの香りではない、その人自身が発する匂いなのですよね?」
■加藤「いわゆるフェロモンです。動物にはしっかりフェロモンの受容器があるのですが、人間は赤ちゃんの頃からその機能が劣化していくので、“な~んかいいよね”という感覚でフェロモンを嗅ぎ分けるのです」
■伊久美「香りに対する男女差の話、すごく興味深かったです。飲み会のネタにしようっと(笑) 」
加藤先生が厳選!女性の心身に作用する3大アロマ
■東島アナ「フェムテックの観点から、加藤さんが女性におすすめしたい香りについて教えていただけますか」
■加藤「3つあります。まずは王道のラベンダー。メディカルアロマの視点でお話させていただくと、ラベンダーの中にリナロールと酢酸リナリルという成分があるのです。これらは2つとも鎮静効果が高いのです。つまりダブルの鎮静効果があるので、ラベンダーはリラックスの代表格として有名になったのです」
■伊久美「2つの鎮静効果成分が含まれているアロマは珍しいのですか」
■加藤「そうですね。例えば木の香りでもリラックスできるのですが、ラベンダーと木の香りは、若干作用の仕方が違います。木の香りは副交感神経を高めてリラックスさせますが、ラベンダーは興奮した神経を鎮めてくれます。ですから、イライラや怒りを鎮めたい時には、木の香りではなくラベンダーがよいのです。うまく使い分けていただくとよいと思います」
■東島アナ「今まで、そこまで細かく考えて使っていませんでしたが、試してみます。2つめは、なんでしょう?」
■加藤「クラリセージです。これは、特に月経前におすすめです。ある研究で、月経前の女性が芳香浴(アロマランプなど)をするようになったら、非常に精神が安定したという研究結果がありました。また、妊娠の後期や更年期の女性にも効果があるという論文もいくつかあり、精神の安定には、クラリセージがよいと言われています」
■伊久美「アロマランプは、キャンドルを使うタイプや電源式のものもあると思いますが、どれを使ってもいいですか」
■加藤「はい、どちらでも結構です。もっと簡単なのは、ティッシュに数滴垂らして、ベッドの近くに置く芳香浴です」
■東島アナ「最後、3つ目はなんでしょう」
■加藤「パルマローザです。あまり聞いたことがないかもしれませんね。女性ホルモンに働きかける精油としてはゼラニウムが有名なのですが、パルマローザにはゲラニオールという成分が含まれていて、皮膚の弾力を回復する効果があるのです。しかも、ゼラニウムの4倍近くも入っているので、私はこちらがおすすめです!」
■伊久美「リラックスのラベンダー、精神安定のクラリセージ、美肌効果や女性ホルモンのバランスを調整するパルマローザ。この3つは覚えておきます!」
■東島アナ「これまでアロマは、おしゃれとして楽しむという感覚で生活に取り入れていましたが、メディカルアロマとして、さまざまな心身の不調に対応しているのですね」
■伊久美「私はいつも効能とかあまり考えずに、その時々で好きな香りを選んでいますが、これは正しいですか」
■加藤「正解です! 匂いっておもしろいもので、例えば焼き肉の匂いを、お腹が減っている時は“おいしそう”と感じ、お腹がいっぱいの時だと“トゥーマッチ”だと感じますよね。同様にラベンダーも、疲労している時に嗅ぐととてもよい香りなのに、元気な時に嗅ぐと、あまりよい香りだと感じないものなのです」
■伊久美「そうなんだ! それでは、今までどおり、その日の嗜好で選びま~す」
■加藤「できれば何種類かの香りを揃えておくとよいと思います。“今日はこれがいちばんしっくりくる”というものが、その日の状態に合う香りだと思います」
■東島アナ「アロマのお店へ行く度に、ほしいと思う香りが違っていたので、不思議に思っていました。きっと体調によって選ぶものが変化していたのですね。これからは、いろいろな香りを試して、不調に対応していきたいと思います」
●次回も、薬剤師で体内環境師の加藤雅俊さんをゲストにお迎えします。

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/
●撮影/寿 友紀