女性トラックドライバーが働く環境とその現状とは?~連載『はじめよう!フェムテック』

女性トラックドライバーが働く環境とその現状とは?~連載『はじめよう!フェムテック』

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、レタスクラブの編集部やハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。31歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった32歳。

<ゲスト>
●橋本愛喜さん Aiki Hashimoto
大阪府生まれ。 元トラックドライバーで工場経営者。その後、日本語教師を経て、現在はフリーライターとして活躍。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上の工場へ配達。現在は労働環境、国際文化ギャップ、ジェンダー、差別、誹謗中傷などに関する社会問題を中心に執筆。メディア出演・講演なども行っている。最新刊は『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路~現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』 (KADOKAWA)。Twitter: @AikiHashimoto

合言葉は「はじめよう!フェムテック!」

女性がトラックドライバーとして働く環境は改善されてきている

■東島アナ「今回もゲストは、元トラックドライバーで、現在はフリーライターの橋本愛喜さんです。トラックドライバーさん全体の中で、女性の割合はどのくらいなのでしょうか」

■橋本「2020年の調査では、男性ドライバー82万人に対して女性ドライバーは3万人。全体の約3.5%というごくわずかな人数ですね」

■伊久美「昔から、トラックといえば男性の職業というイメージでしたが、最近は女性が運転をされている姿を見かけていたので、もっと多いのかな?と思っていました。まだまだ少ないですよね」

■東島アナ「女性ドライバーならではのご苦労があったかと思いますが、いかがでしょう?」

■橋本「いちばん大きかったのは、トイレの問題ですね。渋滞にハマったりすると男性は最終手段として、ペットボトルを使用するケースもあります。ですが女性は体の構造上、男性と同じようにはできないのでより深刻です」

■伊久美「少しずつ改善の傾向はありますか」

■橋本「そうですね。徐々に要望は受け入れてもらえています」

■東島アナ「月経期間などは大変だろうと想像しますが、どのように働かれていましたか」

■橋本「個人差はあると思いますが、私の場合は、月経痛に悩まされましたね。運転をするので鎮痛剤を飲めなかったです。眠くなってしまいますから。心配でいつも夜用ナプキンを使っていましたが、長時間取り換えることができず汚してしまうこともあり、それは本当にきつかったです。カーディガンを腰に巻いて何とか隠して作業をしていると、現場の男性担当者さんが後ろから支えてくださって。お心遣いに感謝しつつも正直嫌でしたが、相手は男性ですし、言えなかった……」

■伊久美「女性ならではの悩みですね、ご苦労されたのですね。トラックドライバーを目指している女性もいらっしゃると思いますが、昔と比べて女性が働きやすい環境になったと感じることはありますか」

■橋本「最近はSNSが盛り上がっているので、女性トラックドライバー同士で情報交換や悩みを相談し合うことができるようになりました。さらに仲間同士だけでなく、先輩、後輩、顔も知らないドライバー経験者との繋がりもできて、コミュニケーションがしやすい、女性も働きやすい環境になっています。私の頃はSNSがなかったので、一人で問題を抱えなければならないことも多々ありました。とはいえ、あの時の辛さが今の発信意欲に繋がっていますし、よい経験をしたなぁと思っています」

■東島アナ「トラックの車体にも、進化が見られるのですよね」

■橋本「私が乗っていたころのトラックは、女性が乗ることは想定されていない設計だったためアクセルやクラッチに足が届かず、シートに浅くお尻をつけ、ほぼ立っているような感覚で運転をしていました。今はメーカーさんが女性も運転しやすいトラックの開発を進めていて、私も試乗させていただくのですが、乗るとあまり揺れないし、足もかけやすく、長距離運転しても疲れないようなつくりになっていて、すごく進化しています」

女性トラックドライバーは、誇りと情熱をもって全国を走っている

■東島アナ「女性トラックドライバーの働く環境も改善されつつあるということでしたが、2017年に国土交通省が女性のトラックドライバーを増やすために、“トラガール促進プロジェクト”をスタートさせました。この活動について、橋本さんはどのようにお考えですか」

■橋本「“トラガール”という言葉に、非常に違和感を覚えました。会社に勤める女性社員をOLと呼ぶことが死語になっている現代に、トラックドライバーの女性だけがなぜ“トラガール”と呼ばれるのでしょうか? また、 国土交通省の公式サイトに、“最近、現場に華やぎを与える女性トラックドライバーさん“トラガール”が増えてきました”という言葉もありました。もちろん悪気がないことはわかっていますが、女性トラックドライバーは、現場に華やぎを与えるためではなく荷物を運ぶために働いています。現場軽視ではないかと感じてしまいます」

■東島アナ「違和感がありますね。さらに、国土交通省がトラガール促進プロジェクトで、車体がピンクで水玉模様のトラックを開発したという事実もあったそうですね」

■橋本「はい。私も講演会などで、女性のためにこのトラックがつくられた話をするのですが、必ず参加者から悲鳴があがり、“これに乗れば女性が喜ぶと思われているのでしょうか?” という疑問の声が続出するのです。この思向はだいぶ古いと思います」

■伊久美「ズレがありますよね。有識者会議には女性が増えてきたと聞きますが」

■橋本「業界全体を変えるには、女性の発言者をどんどん増やしていかなければならないと思います。私も国土交通省のかたがたとお話をする機会があるのですが、今まで私が8年間活動をしてきた中で、国土交通省の職員で女性のかたは一人だけでした。女性のトラックドライバーを増やそうと思っているのであれば、やはり女性官僚のかたを増やして行く必要があると思います」

■東島アナ「現場に女性がいないことが、国と国民の思いが紐づいていない原因かもしれませんね。トラック業界を含め、今後ますます女性の社会進出が進んでいきますが、世の中、どういう方向に変わっていくとよいなぁと、橋本さんはお考えでしょうか」

■橋本「トラックドライバーの仕事について、もう少し知っていただけたらと思っています。これはお届け先の荷主さんだけではなく、消費者も含めてです。先ほどもお伝えしましたが、自分たちが手にしているものは、トラックで運ばれてきたもの!というイメージをもってほしいです」

■伊久美「生活用品のすべてが、トラックによって運ばれていることを改めて認識しました。そして、橋本さんの言葉の端々に、トラックドライバーという職業への愛が感じられますね」

■橋本「はい(笑)。大変な仕事ですが、ドライバーさんたちが続けているのは、一人一人が、“自分たちがこの社会インフラを支えている”という誇りをもって全国を走っていらっしゃるからなのです。その気持ちをわかっていただきたいです」

■伊久美「今回は、トラックドライバーさんの豊かさを知りました。心から敬意を表したいと思います」

●次回は、株式会社ツムラ コーポレート・コミュニケーション室 広報グループ 宮城英子 さんをゲストにお迎えします。

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀

■監修/サンキュ!編集部…今すぐできる素敵なくらしのアイデアを毎日発信中。お金の貯め方から、時短掃除、洗濯、料理作りなどの家事の知恵、インテリア&収納、ダイエットや美容、ファッションコーデ、マナー、暮らし方の提案まで幅広く情報をお届けします。
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