病院の待合室での会話って難しい!「想像する力」の特権

病院の待合室での会話って難しい!「想像する力」の特権

私はかれこれ1年ほど通院しているのですが、予約しても待ち時間が長い病院のため、待合室ではかなり多くの人に出会います。今日は、そんな中で思ったことを綴ります。

長い長い待ち時間

私はかれこれ1年ほど通院しているのですが、予約しても待ち時間が長い病院のため、待合室ではかなり多くの人に出会います。
もちろん意図して他人の会話を聞こうとすることはありませんが、さほど広い待合室でもないため、不可抗力で耳に入ってくることもしばしば。
今日は、そんな中で思ったことを綴ります。

私が通う病院は、予約をして行くと大体1時間半~2時間、どうしても予約が取れずにやむなく直接行くと3時間ほど待ちます。
受付後に出入りするのも自由ですが、周りにはコンビニとオフィスビルくらいしかなく、またそもそも検査・診察・処方箋と何度も呼び出されるので、あまり長時間の外出もできません。

病院側も状況は理解しているので、待合室では無料Wi-Fiが使えるようになっているほか、自由に飲めるお茶も用意されています。
コロナ禍以降、付き添いは最低限にするよう貼り紙もしてあるため院内はわりと静かで、私はいつも持参したPCを広げてひたすら仕事をしています。

ものすごくさりげない一言

そんな中であるとき、通院する奥さんに付き添ってきたらしい旦那さんと思われる男性が待合室を見渡しながらつぶやいた一言。
「無料Wi-Fiも飛んでるしお茶も自由に飲めるし、なんかマンガ喫茶みたいだね」
おそらく奥さんは以前からここに通っていて、旦那さんはその日初めて来て待合室の様子を見たのでしょう。
Wi-Fiと飲み物が用意され、座り心地の良い椅子が並び、みんな思い思いに本やスマホやPCを見て過ごす。
確かにこの光景を見て、「マンガ喫茶みたい」というのは率直な感想だったのだと思います。

でも、でも、別に誰も好き好んでここで何時間も過ごすわけじゃないし、誰も好き好んで病気になったわけでもないし、通院し続けることがつらくてつらくて、それでも折れそうな心を何とか保ちながら通っているのです。
ものすごくさりげないこの一言は、私と、そしておそらくこのとき半径数メートル以内にいて不可抗力で聞いてしまった数人の患者さんたちの心を、深くえぐるのに十分でした。

相手を思っていても

この男性は何も考えずに「マンガ喫茶みたい」と言ったのかもしれないし、あるいは普段から通院する奥さんのことを心配していて「思ったより良い環境(=マンガ喫茶に近い環境)で通院しているとわかって安心した」という気持ちだったのかもしれません。
後者であれば、誰かを大切に思う気持ちから出た言葉で、人を傷つけるのとは正反対の気持ちから出てきた言葉のはず…、それでも人を深く深く傷つけてしまうことがある。
特に病院のように、もともと強い心理的ストレスを抱えている人が多い場所ではそういうことが起きやすくなります。
私は以前、臨床心理学を学んで興味を持ったことをきっかけにメンタル心理カウンセラーの資格を取っているため、おそらく人よりはこういう状況を多面的に考えることができるのだと思いますが、そんな私でも、この言葉を聞いて数ヶ月が経つ現在も癒えることのない傷を抱えてしまっています。
病院での会話って本当に難しいと思った出来事です。

「想像する力」は人間の特権

私は霊長類学の専門家ではありませんが、大学のとき、のちに国から文化功労者に選ばれることになる先生の授業を受けたことがあります。
その中で特に印象的だったのは、「想像する力」は人間の特権だということ。

霊長類の中には人間にかなり遺伝子が近い動物もいて、たとえばチンパンジーのように足し算をしたり絵を描いたりと高い知能を持つものもいます。
しかしどんなに知能が高くても、「今ここにないもの」を想像するのは難しいそうです。
人間であれば、たとえば骨折をして寝たきりの状態でも「完治して全力で走れるようになったら楽しそうだな」と想像することができますが、チンパンジーは「今痛い、今動けない」ということしか思考できない。
だからきっと逆も然りで、健康な状態で「もし病気になったらつらそう」と想像することができるのも、人間の特権なのだと思います。
人として授かった能力、誰かに優しくするための使いたいと、改めて思うこの頃です。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

■執筆/植松愛実…サンキュ!STYLEライター。本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。

編集/サンキュ!編集部

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